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すぐそばのアリランの世界 内山慧

最近は寄る年波でか、頭の回転がトロくさくなっちゃって困ると嘆いていたら、以前と同じことだと同情された。元気づけてくれるのはさすがに友だと嬉しくなっている。

読売新聞を見ていたら、シンガーソングライター新井英一の「清河への道」の特集記事が目に止まった。私は自分でも気付かずに熱烈なファンになっていたのだと思う。日本レコード大賞も受賞してたんだねえ。昔の話だけど、岩国のベースでも働いていたのだ。でもそれがいつ頃のことか、私の記憶がドガチャガになってしまって、考えることが而倒くさくなっちまってるのよ。

この「清河への道」はじっくり時問をかけて書きあげた洗練された曲ではなく、夜汽車の連結部に座り込んで、ギターを片手にチラシ広告の裏側に。一気に書いたものである。私か買ったときにはまだ八番までだったが、今では四十八番までが出来上がっって、全曲聴き終ると四十五分かかるのだそうな。

〽腹を空かせて飛び込んだ、ハングル文字の食堂で、人が旨そうに食っていた。あれと同じのを下さいと、済まない気持で顔を見た。
親父の生まれは清河で、まだまだここから遠いとこ、再びバスに乗り込んで、山をいくつか越えた時、やっと清河で降ろされた。俺のルーツは大陸で、朝鮮半島という所。
俺の親父はその昔、海を渡ってきたんだとひ孫の代まで語りたい。
アリアリラン スリスリランアラリヨ アリラン峠を俺は行く。

親父が生まれたその場所に、俺はとうとうやってきた。一晩中でもその場所に、じっとひとりで居たかった。山には雪が残ってた。

新井英一は、お母さんが戦後廃品川収の仕事をして育てられた。あるときほが盗品の電線をつかまされて逮捕されたことがあるのだ。英一少年が小学校五年生のときである。学校帰りに取り囲まれ、「この朝鮮人が」と罵声を浴びせられた。これが成長していく生活環境である。あの逞しく野太い声を耳にしていると、私達に安らぎと郷愁を与えてくれるのだ。これも少し以前の話になるけれど、周南巾文化会館で高校のブラスバンドの発表会をやっていた。下松高校の前に南陽高校のブラスバンドが出て「アリラン」を演奏していたのが今も耳に残っているのだ。。二味線で聴く長唄や端唄も確かにいい。日本の唄だ。でもアリランの曲を聴くと不思議に心が落ち着くことも確かである。文化は一つだったんだろうねえ。

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