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とっておきの宅配便 バンザーイ三唱(其の一)

テレビ、ラジオ、商店街の売り出し等々のアンケートやクイズに応募し、当選した幸運を配達させてもらうことがしばしばある。
配達する賞品の種類も多種多様で、自転車、家具、衣料品、電化製品、家庭用品、健康食品、ビールにワイン、等々大物から小物までいろとりどりである。
なかには荷受人さん自身にも、まるで見当がつかない荷物もある。それを前にして、
「これ、なんでしょう」
と、配達人常五郎にはまったく答えようのない難解な質問に悩まされることも・・・。
もっとも此れらの賞品のほとんどが、賞品の発送をもって、当選の発表に代えさせて頂きます・・・と云った、たぐいのものであるから、荷受人さんであるお宅にとっては当然、寝耳に水の宅配便ということになるのである。
事情を知らない家人が、この宅配便を前にして、首をかしげ、受け取りをチュウチョしている・・・。そこへ当の応募者御本人が現われて、興奮のうちに荷物の引き渡しをする、なんてこと、度々である。
だから、この種の幸運の宅配便は、可能なかぎり喜びの大きいご一家お揃いの時刻を選ぶことにしている。
「今晩は、宅配便です。」
「ハーイ、ナンデスカ。」
どやどやと小さな足音がして、ガチャガチャとロックをはずす。年長組さん、らしい女の子が、ドアを押して顔を出す。
(コンバンワ)挨拶がかわいい、うしろにあと二人、小さいのがくっついている。
(コンバンワ)(コンバンワ)とたどたどしい挨拶がつづく。
「お父さんかお母さん、いらっしゃいますか。」
言葉の終わらないうちに(ハーイ、どうもすいません)とエプロンで手をふきふき若いお母さんが顔を出す。
そのすぐ後から(どうも、どうも、なんでしょう)とこれ又若いお父さんまで現われた。
社宅のアパートの、あまり広くない玄関に三列の段が出来た。まるで記念写真でも撮るかのようである。
送り状の記事欄には(一等、テレビ電話)とある。荷送人さんは放送局となっている。
ご家族おそろいの時がよかろうと夕食時にタイミングを合わせて伺ったもの、一家総出の三段構えには常五郎三世、いささか度肝をぬかれてしまった。

バンザーイ三唱 其の一終り

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