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国体山口県「隠され、秘められた努力」

十月に入ってそうそう、スポーツの祭典である第66回国民体育大会が山口県で華々しく開催された。競技は県内の各巾にふりわけられ、ここ下松市でも成年男女のバスケットボールとデモンストレーションとして武術太極拳が行われた。

アマチュアとして学業や仕事の本務をしっかり果たしながら、一流のアスリートとして県や地方の大会を勝ち抜いて代表の座に就く道のりは、並大抵の苫労ではあるまい。

日ごとの厳しい練習を黙々と積み重ね、また自他に打ち克つ秘めた闘魂なしには決して手に入らぬ栄冠である。国体期間中の数日に及ぶ予選を勝ち抜いて晴れの決勝に挑む彼らの熱闘を、私たちも声の限りに声援したい。

山口県が開催地となったのは何と1963年だから、48年ぶりとなる。せっかくの好機を逃すのは惜しいので、できれば近くの周南市や光市にも足を伸ばして彼らが長年に蓄えた隠れた節制と秘められた頑張りに心からの拍于を送ろう。勝者にも敗者にも等しく。聞くところによると、他県から訪れたバスケットボールの女子選手をホームステイで温かくもてなすとか。これは何にも優る心尽くしの歓待である。家族の方々と選手たちとの親しい談笑や交流をつうじて、競技の場では窺い知れない彼女たちの隠れた素顔や秘められた初心もおのずと露になり、きっと双方に楽しい貴重な思い出を創り出すことだろ。

この間のこと、知人から草履を手作りする材料にと使い古しの布切れを頼まれた。そこでもう何十年間もシャワーの度にバスローブとして着ていた浴衣を、ハサミを使って解くことにした。ほんの30分か40分で片付くものと軽く考えていたが、生まれて初めての慣れない仕事だからか、あるいは余りにぶきっちょな手先なのか、三回に分けてなんと延べ三時間を費やした。今までに自分でやった針仕事といえば、中学時代のボタン付けと一枚の雑巾作りがすべて。かなりの時間と労力がかかり肩も凝ったけれども、各処に凝らされた工夫や針運びの巧みさに驚きいった。外眼には現れない縫い目や折り返し、また特に襟の重ねや両袖の丸みを持たせた部分など、ズブの素人にも縫う人の熟練や細心さが見て取れた。この浴衣は、神出(兵庫県)の養護施設で真夏の。一ヶ月間ワークショップが開かれ、その盆踊りの当日に贈られ皆で大喜びして炭坑節を踊った物だ。三十年余りも、なにげなく当たり前のように羽織って来たが、いま手元に十余りの布切れとして丸めてみて初めて、生地の丈夫さ・縫い手の力量・着心地の良さにやっと気がついた。どれほど貴重な贈り物を戴いていたことか、遅ればせながら無名の大恩人に心から感謝の念を新たにした。

十月十五目に、暁の星幼稚園の待ちに待った運動会がにぎやかに開かれる。可愛い孫の晴れ姿を見ようと、遠くから新幹線に乗って泊まりがけで多くの祖父母も声援に来られると聞いている。きっと国体以上に盛りにがり、随所に想定外の楽しいハプニングや、手に汗にぎる力の入った競り合いや大番狂わせも実見できるだろう。ここ数週間は連日、暑熱のなかを物ともせずに子供たちも先生たちも沢山の汗を流しながら、少しずつ新しい課題を身につけようと頑張っている。当日の出来栄えも誰が一番になるかも気懸かりではあるが、一人ひとりの子供たちが心のなかで密かに頑張ったこと、隠れて努力したことを確信して大いに褒め称えたい。子供たちの内心の成長ぶりを、大人の尺度や評価に照らして外からうわべで判断してはなるまい。

照るてる坊主、照る坊主、あした人気にしておくれ。

合掌