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賽銭泥棒と慈悲

あるお寺で賽銭が盗まれ、賽銭泥棒が捕まったとテレビで報道された。お寺でちょくちょく賽銭が盗まれ、その対策を警察に相談し盗難防止カメラを設置した。お寺の住職が監視し、現行犯で捕まえたと報じていた。泥棒はいけない。事情はいろいろあるだろうが、食うに食えない生活だったかは分からないが、そこに賽銭があったからつい手を出したのだろうか。お寺側としては、善男善女のお賽銭を毎日回収せず、盗難に遭いましたでは話がおかしい。お寺側が泥棒を捕らえる事に重きを置いたことも解せない。お寺側としてはまず毎日賽銭を回収し、賽銭箱に「泥棒様お賽銭はありません。正業についてください」くらいの張り紙を置くウィットがあってもよいだろう。まずは盗難防止策を施し、心得違いの人を善導するのもお坊さんの役だろう。慈悲を広辞苑で調べると、①仏・菩薩が衆生を哀れみ慈しむ心、②慈しみ哀れむ心、情け慈悲心、とある。泥棒は警察に任し、善導はお坊さんに任す、これでよい。そんなふうに感じた。

坪郷