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てんてこ盛りの秋

お彼岸が過ぎるのを待ち構えていたように、はやばやと初雪や初氷の寒い知らせが北国から聞こえてくる。しかし幸いにここはまだ秋の真っ最中、一年の中でも特に素晴らしい季節を迎えている。どういう加減なのか、よほどの閑人なのか、今年は例年にもまして盛り沢山な秋を心ゆくばかり楽しんでいる。
 スポーツの秋。開催県に運良く住んでいるおかげで、生まれて初めて国体の競技を実地に観戦することが出来た。光のセーリング会場では、はるかな沖合に百ちかい中小のボートが群がっているのを見た。成年男女のバスケットボールの初戦は余りにも大勢の観客が押しかけ、会場に入ることすらかなわなかった。二日目には座って観戦できたが、格闘技のような激しい体のぶつかり合いに驚いた。コートキーパーとして隅に三人ずつ待機する生徒が機敏に、コート上にしたたる汗をモップや雑巾で丁寧に拭う姿は実に爽やかだった。
次々に押しかける車をさばく誘導員、入口で手際よく案内する係、場内の安全と管理に努める人々など、合わせると何百人にもなるボランティアの方々が皆きびきびと惜しみなく働いていた。ところでこの三週間ちかく自分の車にドロ
がへばりついて落ちないが、恋路の駐車場からの有難いお土産である。八日は一日中、周南のスポーツセンターハンドボール三昧。華陵や下松工の高校生チームは、地元の大声援に応えて王者の戦いぶりだった。15日には幸運にも雨と雨の合間に、待ちに待った暁の星幼稚園の運動会が国体並みの大にぎわいで行われた。あの子この子の笑顔や泣き顔が、今も眼に焼きついて離れない。お友達と力合わせること、身体をフルに使って表現すること、また互いに競い合うことのたのしさが心に刻まれたことだろう。
 芸術の秋。モールで開かれた総踊りを初めて見物した。開会式や大太鼓の演奏が終わって間もなく雨が降り始めたが、十五あまりの「よさこい」グループが大旗を振って力の限り元気よく舞い踊ってくれた。老若男女が入り混じり、衣装・振り付け・掛け声にも工夫をこらし、雨水を跳ね飛ばしながら各グループならではの味わいと力強さが披露された。三十年も前に一回だけ「炭坑節」をおどったじぶんには想像もつかないが、よほどの練習と好き心がなければ、あれほど息を合わせて熱気や迫力をかもしだせない。或る徳島出身のシスターは、阿波踊りのお囃子が聞こえてくるともう勝手に体が動き出すと言っていた、実にうらやましい限り。二日は大忙しの一日。教会の委員会を早く切り上げて光市のセーリング会場に急ぎ、さらに帰途は欲張って下松吹奏楽の集いに駆けつけた。小中高生が何処も三校ずつ出演したが、なかなかの大人数で楽器編成も大がかりだった。最後は下松市吹のメンバーに生徒も加わり、総勢が113名の合同演奏で締めくくられた。各校は指導者に恵まれているからか、基礎のしっかりした若く有望な人材が数多く育っていることに感心した。
どういう風の吹き回しか、九日の午後には周南市の文化会館に行って邦楽を鑑賞した。山口県内で活躍する各流派の家元やお師匠さんが門下生を引き連れての出演だが、普段は生で聞く機会が皆無といえる尺八・お琴・三味線・長唄などの合奏や独演が大いに楽しめた。金持ちのお遊び芸や骨董品とみなされ敬遠されたのでは余りに勿体ないと、ガラ空きの客席を眺めてつくづく思った。演奏者にはお年寄りが多かったが、それでも青年男女が各伝統楽器にしっかり加わっているのは嬉しい発見だった。キリスト教の教会典礼が、日本人の心情に深く温かく細やかに訴えかける邦楽の世界にまったく無縁なのが口惜しい。19日に遠石会館で琉球舞踊を見た。二十年以上もまえに一週間あまり沖縄で過ごした時に一度だけ、郷土芸能(舞踊と音楽)に接して魅了された。久々ぶりの再会を存分に堪能した。演目の多様さ、衣装の豪華さと所作の細やかさ、また創作物の多さはしっかりした伝統を踏まえながらも新しいものを旺盛に取り込む若々しい意欲にも感心した。舞踊と地唄方と楽器、まさに沖縄の歴史と文化と心情と自然とが。つに融けあう独自の世界・異次元が創り出されている。 味覚・食欲の秋。イチジクやプラムのジャム作りに挑戦したが、残念ながら一勝。引き分けで終わった。また栗の鬼皮と渋皮とを剥く手早く簡単な方法はないか、あれこれ試してみたがまだ試行錯誤の段階である。和製の「マロングラッセ」は来年の秋に持ち越すことにした。閑話休題。合掌
下松暁の星幼稚園園長
中村 健三

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